ITを活用したビジネスモデルの変革を目指したDXが声高に叫ばれています。新型コロナを背景に非接触ビジネスが求められる状況もあります。これらを背景にIT需要の高まりには目を見張るものがあります。しかし、そうした高まる需要にIT人材の供給が追い付いていません。人口減による人手不足も相まって、IT分野でのエンジニア不足は深刻な問題となっています。

しかし、その一方で「なかなか成功しない」とデメリットを語る声を聴くこともあります。

I.　オフショア開発が失敗する理由

１．コミュニケーションが難しい

オフショア開発では、異なる地域や文化からの作業協力に伴い、コミュニケーションが難しいという課題が浮上します。言語の違いや文化的な背景からくるコミュニケーションの齟齬が発生しやすく、これがプロジェクトの円滑な進行を妨げることがあります。企業は効果的なコミュニケーション手段を模索し、チームメンバー間の理解を深める努力が求められます。

２．実際の進捗が見えにくい

オフショア開発では、物理的な距離やタイムゾーンの違いが進捗の見えにくさにつながります。現地との同期が難しく、リモートワークの増加により実際の進捗状況を正確に把握することが難しくなります。進捗管理ツールや週次の報告などを通じて、プロジェクトの進行状況を確認することが不可欠です。

３．小規模開発ではコストメリットが出にくい

オフショア開発は、一定のプロジェクト規模以上でないとコストメリットが得られにくいという課題が存在します。小規模なプロジェクトの場合、コミュニケーションや管理の困難さが逆にコストを上昇させる可能性があります。企業はプロジェクトの規模や要件に応じて、オフショア開発の適用を検討する必要があります。

４．品質に対する意識の違い

オフショア開発では、異なる地域や文化における開発者が異なる品質基準や期待値を持つことがあります。品質に対する意識の違いが生じると、プロジェクトの品質が一貫して維持されにくくなります。共通の品質基準を確立し、定期的な品質検証を行うことが必要です。

５．時差の影響でスムーズにやりとりができないことがある

オフショア開発には時差がつきものであり、これが円滑なコミュニケーションや問題解決を難しくすることがあります。特に重要な決定事項や緊急の課題に対応する際に、時差がボトルネックとなり、スムーズなやり取りができないことがあります。企業は適切なコミュニケーション手段を活用し、時差に対応する戦略を構築する必要があります。

II.　解決方法

せっかくメリットがあっても、とにかく「失敗しやすい」とされてしまうオフショア開発。では失敗させないためにはどうすればよいのでしょうか。

1.実績のある企業を選ぶ

安すぎる見積もりを出してくるような企業は疑ってかかるのが無難です。安さが魅力のオフショア開発とはいえ、経験を積んだスキルの高いエンジニアにはそれ相応のコストがかかります。実績のある企業を選ぶことは、成功への近道であると私は考えています。実績がある企業は、過去の実績を通じて信頼性があり、安定感があります。これは、企業が長期的なビジョンを持ち、市場の変化に対応できる強さを意味します。

2. コミュニケーションが重要

オフショア開発では、言語や文化が異なる依頼先とのコミュニケーションが特に重要です。異なる言語を共有することは、誤解や意思疎通のハードルを生む可能性がありますが、適切なコミュニケーション戦略を確立することで、円滑なプロジェクト進行が期待できます。
 

3. 進捗管理をしっかりと

まず、進捗管理においては明確な目標やタスクの設定が欠かせません。プロジェクトの各段階において達成すべき目標を設け、それらの進捗を具体的な数字や指標でモニタリングすることで、プロジェクトの全体像を把握することができます。進捗管理にはプロジェクト管理ツールやソフトウェアを活用することも役立ちます。これらのツールはタスクの進捗状況やメンバーの負荷などを可視化し、リアルタイムで情報を共有できるため、円滑なコミュニケーションと迅速な問題解決が可能です。

また、進捗会議を定期的に行うことも良い方法です。メンバー全員がプロジェクトの進行状況を共有し、意見交換を行うことで、チーム全体の理解が深まり、課題に対する共通認識が生まれます。問題が浮き彫りになった場合には、迅速かつ効果的な対策を練ることができます。進捗管理は単なる進行状況の確認だけでなく、将来の課題を予測し、プロジェクトの成功へと導くための指針を提供します。徹底的で効果的な進捗管理を行うことで、プロジェクトチームはより効率的かつスムーズに仕事を進めることができます。

4. 派遣IT人材の雇用

派遣IT人材の採用は、現代のビジネスにおいて重要かつ戦略的な決定です。IT分野は急速に進化しており、企業はその変化に迅速かつ柔軟に対応する必要があります。以下は、派遣IT人材の採用に関する考えと利点についての一般的な指針です。派遣IT人材を採用する際には、多様なスキルセットを持つプロフェッショナルが揃っていることが利点の一つです。異なるプロジェクトや課題に対処するために、必要なスキルや知識を的確に持っている派遣社員を選ぶことができます。

また、派遣IT人材の雇用形態は、企業のリソース管理にも寄与します。一時的な需要に対応するためにプロジェクト毎に必要な人数を確保でき、プロジェクトが終了すれば雇用契約も終了するため、無駄なコストを抑えることができます。