「なぜ毎回バグが出るのか?」機能テストの限界と“再発バグ”の構造的原因を掘り下げる

1. 機能テストの目的と限界
機能テスト(Functional Testing)は、仕様書に基づいて各機能が「正しく動くか」を検証するテスト手法です。
たとえば以下のような項目が対象になります。
・正しい入力で正しい出力が返るか
・エラーハンドリングが正しく行われているか
・操作フローが仕様通りか
このように、仕様通りかどうかを基準に判断するのが機能テストです。
しかし問題なのは、「仕様に書かれていないものはテストしない」という前提があること。つまり、仕様の不備や曖昧さには対処できないという限界があります。
さらに、UIの使いにくさやユーザーの操作ミスを誘発する設計など、ユーザビリティ起因のバグも機能テストでは見落とされがちです。
2. 再発バグの原因は「構造」にある?

再発バグの多くは、「仕様が甘かった」「テストが足りなかった」とされますが、それは表面的な原因に過ぎません。実際には、次のような構造的課題が潜んでいることが多いのです。
・仕様とUI設計の整合性が取れていない
・過去のバグナレッジがチーム間で共有されていない
・属人的なテストケース作成に依存している
・UI変更のたびに手動テストをやり直している
こうした構造の中でテストを回しても、バグの根本原因は取り除かれず、同じような不具合が繰り返されてしまいます。
3. ケーススタディ:見逃される“UI起因”の不具合
ある業務アプリケーションでは、「保存」ボタンが画面下部に固定されているにもかかわらず、ユーザーが保存し忘れる事例が多発していました。テストではボタンを押して保存ができるかを確認していたため、問題は検出されませんでした。
しかし実際には、
・ボタンがスクロールしないと見えない位置にある
・モバイルでは表示が切れて見えない
・ユーザーは「入力したら自動保存される」と誤解していた
こうしたUI設計の齟齬が原因で、「動くのに使えない」状態が生まれていたのです。これは機能テストではなく、構造の問題と捉えるべきです。
4. バグ報告が少ない理由は「レポートのしづらさ」
バグを見つけても報告されない。それが品質課題の“見えない地雷”になることもあります。
その背景には、次のような要因があります。
・バグレポートのUIがわかりにくく、送信が面倒
・必要な情報(再現手順、環境情報など)の記入が複雑
・報告しても反映されるまでに時間がかかり、フィードバックの意欲が低下
ユーザーや社内テスターが気軽にレポートできない設計では、バグが「存在しない」ように見えてしまうリスクがあります。結果として、テストでは見えていない不具合が、リリース後に表面化してしまうのです。
5. テストでは防げない問題にどう対処するか?
では、テストでは拾いきれない構造的な問題に、どう向き合えばいいのでしょうか?
以下のような取り組みが効果的です。
・仕様レビューの段階でUX・UIの設計意図も含めて確認する
・バグ管理ツールに「構造的課題」「プロセス起因」などのカテゴリを追加する
・「再発防止策」としてテスト追加ではなく、設計改善を必ず検討する
・ユーザー視点のシナリオベーステストを導入する
重要なのは、バグを「防ぐ」だけでなく「繰り返さないために何を変えるか」まで考えることです。
バグを防ぐにはテストの網を広げるだけでは不十分で、そもそもそのテスト設計や仕様設計の根本が、ユーザーにとって妥当なものかどうかを問い直す視点が必要です。再発を防ぐ鍵は、バグの“存在”を責めるのではなく、それを生み出した“構造”を疑い、改善していく姿勢にあります。機能テストを品質保証の中心に据えつつも、その限界を理解し、開発・運用・UX設計を横断して「使えるソフトウェア」の構築を目指すことが、今後の現場に求められる品質戦略です。
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